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車検でよく言われる「ブレーキパッドが減ってますよ」
車検や法定点検の際、私たち整備士から「ブレーキパッドが減ってきていますね。そろそろ交換した方がいいかもしれません」と言われた経験、ありませんか?
ブレーキパッドは車を安全に止めるための最重要パーツですが、使用状況によって摩耗スピードが全く異なるため、いつ交換すべきか判断に迷うお客様がとても多いんです。「本当に今すぐ交換しなきゃダメなの?」「あと1年くらい乗れるんじゃないの?」といったご相談をよくいただきます。
今回は、ブレーキパッドの交換時期の目安と、交換を先延ばしにしすぎた場合に起こる怖いお話について、整備士目線で詳しく解説していきます。
新品は何ミリ?残量の目安と減るペース
まずは基本的なお話ですが、新品のブレーキパッドの厚みは、一般的な乗用車でおよそ10mm前後あります。これがブレーキを使用するたびにブレーキローター(タイヤと一緒に回転する円盤状の金属)と摩擦を起こし、徐々に削れていくわけですね。
一般的に、**「走行距離1万kmで約1mm摩耗する」**と言われています。つまり、年間1万km走る方であれば、1年で約1mmずつ減っていく計算です。
車検の規定では、ブレーキパッドの残量が1mm以上残っていれば検査を通過することはできます。しかし、実務上では「残量2mm〜3mm」になったら速やかに交換をおすすめしています。
例えば、現在の残量が4mmだとします。「1万kmで1mm減る」という目安に当てはめると、次の車検(2年後)まで年間1万km乗るなら、計算上はあと2万km走るので2mm減り、次回の車検時には残量2mmになる算段です。この場合、「まだ大丈夫ですが、来年あたりには一度点検に持ってきてくださいね」とお伝えすることになります。
逆に、残量が2mmを切っている状態だと、いつ限界を迎えてもおかしくありません。すぐに新しいものへ交換するよう強くご案内しています。
現場の声:限界まで使うとどうなる?
実は、うちの工場でもよくあるんですが、ブレーキパッドが完全に限界を超えてから持ち込まれるケースです。先日も、車検を少し先延ばしにしていたスズキのアルトが入庫した際、ブレーキパッドの摩擦材が完全に無くなり、金属の裏板がむき出しになっていました。
こういう状態になってしまうと、ブレーキパッドだけで済む話ではなくなります。
ブレーキを踏むたびに、「キーキー」という音を通り越して「ゴリゴリ」「ガリガリ」という鈍い音が鳴るようになります。これは、パッドの裏板(金属)とブレーキローター(金属)が直接削り合っている音です。こうなると、奥にあるブレーキローターまで深くえぐれてしまい、ローターも同時に交換しなければならなくなります。
パッドだけの交換なら、部品代は数千円〜1万円台前半(軽自動車〜コンパクトカーの場合)で済むことが多いです。しかし、ローターも同時交換となると、費用が数倍に跳ね上がってしまいます。節約のために交換をギリギリまで引っ張るつもりが、かえって痛い出費になってしまうんですよね。
「キーキー」音は最後の警告サイン
皆さんは、ブレーキを踏んだ時に「キィィー!」という高い音が鳴ったことはありませんか?実はあの音、ただの汚れやサビによる鳴きだけではなく、「ウェアインジケーター」と呼ばれる摩耗を知らせる金具が鳴らしている警告音の可能性があります。
多くの車のブレーキパッドには、残量が2mm程度になるとローターに接触する小さな金属片(ウェアインジケーター)が付いています。あえて「キーキー」と不快な音を鳴らすことで、ドライバーに「もうパッドがないですよ!交換してください!」と知らせる仕組みなんです。
もし、ブレーキを踏むたびにこの音が鳴るようになったら、もう猶予はありません。迷わずお近くの整備工場やディーラーへ予約を入れてください。それを無視して乗り続けると、あっという間にローターを削り始めてしまいます。
輸入車に乗っている方はさらに注意!
ここで少し補足ですが、輸入車をお乗りの方は特に気をつけていただきたいポイントがあります。
ヨーロッパ車(プジョーやボルボなど)は、設計思想の違いから、国産車とはブレーキの効き方が少し異なります。アウトバーンなどの超高速域からでも確実に止まれるよう、ブレーキパッドと一緒に「ブレーキローターも積極的に削りながら」強力な制動力を生み出しているんです。
そのため、輸入車の場合は「パッドだけ換えればいいや」と思って工場に持ち込まれても、測定してみると実はローターもしっかり摩耗していて、規定の厚みを下回っているケースが非常に多くあります。輸入車の場合は、「パッドが減ったタイミング=ローターも同時交換時期」と考えておいた方が安全です。また、輸入車用の部品は国産車に比べて高額になる傾向があるので、車検費用などは計画的に準備しておくことをおすすめします。
まとめ
ブレーキパッドの交換時期についてお伝えしました。現在のパッド残量を聞いたら、ご自身の年間走行距離に照らし合わせて、「あとどれくらい乗れそうか」を計算してみてください。そして、「キーキー」「ゴリゴリ」という異音が聞こえたら、すぐに工場へ持ち込むこと。これさえ覚えておけば、高額な修理代を避けることができます。
ブレーキは命に直結する重要な部品です。少しでも不安を感じたら、定期点検以外でもお気軽にお近くの整備工場へ相談してみてくださいね。
参考
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