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走りながら充電する夢の技術がいよいよ現実に?
こんにちは、対馬で自動車整備工場『対馬モーターサービス』を営んでいる整備士です。
お客様とお話ししていると、「EV(電気自動車)に興味はあるけど、充電の時間が長くて面倒そう」「どこに充電スタンドがあるか気にしながら走るのはストレスだよね」というお声をよくいただきます。やはり、充電インフラに対する不安は大きいんですよね。
ところが、そんなEV最大の弱点を根本から解消してくれそうな技術が、いよいよ現実味を帯びてきています。今回は、最近ニュースでも話題になっている「走行中ワイヤレス給電(DWPT)」について、いち整備士としての視点からまとめてみたいと思います。
政府も導入指針策定へ。加速する技術開発
道路の路面から車両へ、無線で電力を供給する「走行中ワイヤレス給電(Dynamic Wireless Power Transfer:DWPT)」。スマートフォンの置くだけ充電のスケールを大きくして、さらに「走りながら」給電できるという仕組みです。
日経クロステックの報道によると、政府がこのDWPTの導入指針策定に向けて動いているとのこと。国を挙げて、新しいインフラ整備に向けたルール作りに着手し始めているという事実があります。
また、自動車メーカー各社の開発も勢いを増しています。国際特許出願の分析において、トヨタやデンソーが「走行中」の無線充電技術で先行していることが分かっています。さらに、直近のホンダの【人とくるまのテクノロジー展2026】では、小型EV「Super-ONE」や電動モーターサイクル「WN7」を披露するなど、次世代モビリティ技術のお披露目が続いています。
なぜ「走りながら充電」が重要なのか?
このワイヤレス給電技術が実用化されれば、充電スタンドで長時間待つ必要がなくなるのはもちろんですが、車そのものの構造にも大きな変化をもたらす、と現場では考えています。
一番大きいのは「バッテリーを小さく、軽くできる」という点です。 走りながら電気が補充できるなら、一度に長距離を走るためだけに、巨大で重たいバッテリーをぎっしり積む必要がなくなります。車体が軽くなれば、電気の消費量(電費)もよくなりますし、タイヤやブレーキパッドの摩耗も抑えられるという良いサイクルが生まれます。
整備士目線で言うと、今のEVはバッテリーパックがとにかく重く、リフトアップして整備する際も、車両重量にはかなり神経を使います。もしバッテリー容量が半分で済むようになれば、車両自体が軽量化され、整備現場の負担も格段に減るのでは、と期待しています。
整備士目線で気になる「下回りへのダメージ」
一方で、現場の人間としては修理コストに関する懸念もあります。
うちの工場でもよくお客様によく言われるんですが、対馬のような地方の荒れた山道や、ちょっとした段差などで「下回りをゴリッと擦ってしまった」というケースは本当に多いんです。
走行中給電を利用するには、車両の床下に受電用の専用モジュールを取り付ける必要があります。もし、走行中の飛び石や段差によるヒット、あるいは冬場の融雪剤(塩水)の巻き上げによって、この裏側のモジュールがダメージを受けてしまったらどうなるでしょうか。
高電圧を扱う特殊な部品ですから、ちょっとぶつけただけでも大掛かりなアッセンブリー交換(丸ごと交換)になり、修理費用が大きく跳ね上がるリスクは考えておかなければなりません。新しい技術には、万が一の際の修理コストがつきものです。このあたりが今後どのようにクリアされていくのか、注視したいところです。
まとめ
対馬のような離島や地方の隅々にまでDWPT対応の道路インフラが整備されるのは、全国の主要幹線道路が整備されたあと、かなり先のお話になると思われます。ただ、トヨタやデンソーの特許先行、そして政府の指針策定など、日本のEVを取り巻く環境が大きな転換点を迎えていることは間違いありません。
今後EVの購入を検討される方は、「EVのバッテリーはとにかく大容量じゃなければダメだ」という今の常識が、数年後には大きく変わっているかもしれない、ということを頭の片隅に置いておくと、先の車選びがもっと楽しくなると思います。